【リレートーク】「模擬議会授業から見えてくるもの」

佐藤丈晴(ぼらんたす会員)

 毎年、酒田市立十坂小学校第6学年の社会科の授業のお手伝いをしています。「みんなの願いを実現する政治」という社会科の単元のお手伝いで、5年ほど前に地元の小学校から依頼がありました。
 当初は市議会を見せてほしいということでしたが、議会の開会中に傍聴に来てもわけもわからないだろうと、2年目からは「模擬議会」の形式で行なっております。十坂小学校では、これまで周囲にあるクロマツ林の枝打ちなどのボランティア活動や歴史などを学んでおり、模擬議会は、架空のとさか市のとさか市議会でクロマツ保全条例を制定するという内容で進めています。
 市民の参画を得てクロマツを保全するという条例案には賛成するという賛成派、クロマツ林はそもそも公共のもので行政が管理すべきという反対派、児童のみなさんはそれぞれ自分たちが行なってきた活動をとおして、条例案を見つめ、活動の中から感じたことなどを合わせて考え、最終的な条例案の採決には、自分自身の考えで賛否を表明するよう指導しています。
 今年の模擬議会は、賛成多数で条例案は可決成立しましたが、この賛否については、例年同じとは限りません。その年によって、クロマツの保全活動が少なかったかなと思われる学年の時は反対派が多数を占め、活動が活発な学年は賛成派が多数を占める。ほんとうに子どもたちは純粋に活動を見ているなと感じる場面です。
 『ボランティア』という言葉が一般化した今、次代を担う子供たちにどのような活動の場を創出していくのか、私たち大人が試されているのではないかと考える今日この頃であります。