【リレートーク】「NPOにおける事務局長の役割」

早瀬昇 (社福)大阪ボランティア協会 常務理事 

 私事で恐縮ですが、32年間勤めた大阪ボランティア協会を、この5月末で退職し、19年間務めた事務局長を退任します。しばらくはボランティアで常務理事を務めるものの、今後は若いスタッフのフレッシュなセンスで「大ボラ協」の活力の維持・発展をはかってもらおうと思っています。(早瀬は、今後、もっぱら講師のご依頼にお応えする仕事などで頑張ります。よろしくお願いします!)
 事務局長を退任するにあたり、そもそも市民活動団体の事務局長の役割は何なのだろうと考えてみました。事務局というぐらいですから、きちんと事務をこなすことは絶対で、経理の管理なども大切ですね。でも、何と言っても重要なのは、日々の決裁。実際上、事務局長の判断で、事業が進むこともあれば止まることもあるからです。
 ここでポイントとなるのが、市民活動には「普遍的な行動基準がない」ということです。住民全体の合意のもとで動く行政や、ともかく損を出してはいけないという企業とは違い、市民活動は「やろう!」という人がいれば、誰も賛成してくれなくても、まったく利益につながらなくても、活動を進められる世界です。
 そんな中、私はボランティアスタッフや職員からの提案を、まずは肯定的に受け止めることをモットーにしてきました。要は「撥ね返さない」。ちょっと大変そうなことでも、「ダメで元々」と挑戦する雰囲気を作りたかったのです。
 でも、実はそんな雰囲気の中で一番調子に乗っていたのは、他ならぬ僕自身かもしれません。ボランティア活動に伴いがちな窮屈さ、過度のまじめさから脱皮しようと「ボランティア悪魔祓い講座」なる講座を企画し、「ボランティアはアガペではなくエロスだ」のテーマで播磨靖夫さんに話してもらったり、今は国土交通副大臣になってしまった辻元清美さんに「アホは国境を越える」を演題に話に来てもらったり…などということもありました。
 これからの大ボラ協も、この自由な雰囲気は大切にしてほしいと思っています。