【リレートーク】「あきらめない大人たち」

後藤麻理子(特定非営利活動法人日本ボランティアコーディネーター協会)

 
 活動を支えている多くがボランティアというNPOは少なくない。
 私が全国の仲間と一緒に日本ボランティアコーディネーター協会というNPOを立ち上げたときにも有給スタッフは週1回のアルバイトスタッフひとりきりだったし、10年経った今でも事務局は常勤2人プラス週1日のアルバイトの体制である。では、事業は誰が進めているのか? 実は日本全国にはボランティアで精力的に関わる運営委員が30人ほどいて、協会の事業のおそらく半分以上を自立的に推進している。毎月、東京・関西と交互に会場を変えて運営委員会を開き、事業の方針やアイディアを語り合い進捗を確認しているが、その都度遠方から参加される委員がいる。飛行機や新幹線などを使えば移動時間はずいぶん短縮されたものの、その人の休日は確実に移動と会議に費やされ、往復すれば交通費も2~3万円を下らない。そしてこの費用は基本的には自腹である。
 職員になる以前は私自身もそのボランティアの1人だったのにもかかわらず、時々この人たちのボランタリーなエネルギーはどこから来るのだろうか、何がそうさせるのだろうかと不思議にすらなる。ボランティアコーディネーションという機能を社会に普及させたい、そして市民が積極的に社会に参加し主役になる[市民社会]をつくりたいという遠い夢に向って集まってくるこの集団を、私はひそかに“あきらめない大人たち”と呼んでいる。もちろん“ぼらんたす”のある山形にもこのあきらめない大人たちがいて、全国でボランティアを推進する仲間を刺激し、元気と気づきを与えてくれている。
 できっこない、変わるはずない、やっても無駄、と、私達が思ってしまったら夢はそこで途切れてしまう。私自身、子どもの頃からここぞと思ったらこだわり続ける頑固さは折り紙つき。そう簡単にはあきらめない。