【リレートーク】「私の“ボランティア初体験”」

筒井のり子(日本ボランティアコーディネーター協会運営委員)

 夏が来れば思い出す・・・のは、中学生の夏休みです。かつて通っていた幼稚園で、卒園生達の交流キャンプを企画実施しました。キリスト教会付属の、当時はとても小さな幼稚園で、私はその1期生でした。開園当時から障害を持つ子どもを積極的に受け入れ、小学生向けの様々な企画をするなど、地域の児童館のような幼稚園でした。
 「バラバラの小学校へ行っている卒園生が集まれる場を作りたいのよね〜」という園の先生方の声を受けて、1期生を中心に4〜5名が集まりました。
 キャンプと言っても、園舎に泊まり、園庭でキャンプファイアーをするというこじんまりしたものです。「グループ分けはどうしよう」「食事のメニューは」「キャンプファイアーの時のゲームは何をしよう」「小学生低学年は夜さみしがるんじゃないか」などなど、クーラーもない暑い暑い部屋に何回も集まって話し合いました。
 そんなある日、部屋にあるテレビで広島の原爆特集をしていました。衝撃的でした。園の先生から、被爆者の写真集を見せてもらい、みんなでいろいろなことを質問し、話をしました。
 このささやかな夏の体験から、私は「自分で企画することのおもしろさ」「任されることで生まれる責任感」「身の回りのことだけでなく、日本で、世界で起きていることに目を向けること」を学んだように思います。
 「ボランティア」という言葉は使っていませんでしたが、今から思えば、あれが私の“ボランティア初体験”でした。「何を行ったか」も大事ですが、どれだけ視野が広がったか、どれだけ主体的に行動することのおもしろさに気づいたかが“ボランティア体験”の質と言えるのではないでしょうか。