被災地でのボランティア活動についての緊急アピール[1.0]

特定非営利活動法人 日本ボランティアコーディネーター協会(JVCA)

被災地でのボランティア活動についての緊急アピール[1.0](2011年3月21日版)
被災地でのボランティア活動を呼びかける皆さん、ボランティア募集や活動の様子を伝える皆さん!

(1)「共感力」と「受援力」を高めるボランティアコーディネーターの重要性
 ボランティア活動は被災地の方々を励まし、その復興につながるよう展開されなければなりません。そのためにはボランティアの被災者への共感力と自主性を高め、その力を発揮できるようなサポートが必要です。一方、被災者が「支援を受け入れる力(受援力)」を高めるようサポートし、多様なニーズを顕在化させることも大切です。これらの役割を果たすのがボランティアコーディネーターです。ボランティアコーディネーターは、ボランティアに命令したり、仕切ったりするのではなく、被災者とボランティアの新しい出会いとつながりを生み出し、その復興を支えていく重要な存在です。

(2)ボランティアは「派遣」されて行うものではない
 ボランティア活動は自主的に“共感”にもとづき無償で行うものです。誰かが「派遣」(=命令してやらせる)するものではありません。とりわけ情報がない危機下においては、命令による「派遣」は指示待ちを生みます。「ボランティア派遣」という発想ではボランティアの多彩さや機動性という長所を活かせません。派遣という表現も避けてください。

(3)ボランティアの事前登録は機能しにくい
 大規模災害において、個人ボランティアの活動日以前の「事前登録」は機能しにくいばかりか、ボランティアの意欲と行動を鈍らせる結果になります。なぜなら、大量の「登録者」へ個別に指示(活動紹介)することは不可能ですし、「登録」してしまったボランティアはそこで行動がストップしてしまうことが少なくないからです。

(4)災害時対応のボランティア活動保険への加入を
 ボランティアが被災地での活動中に怪我や事故に遭遇する可能性があります。安全や健康に十分配慮するとともに、往路での事故時補償を受けるためにも、活動前に出発地の社会福祉協議会で災害時のボランティア活動に対応する「ボランティア活動保険(共済)」に加入して被災地に赴くことを推奨します。しかし、保険の存在自体を知らない活動者が多いのも実情です。活動に際しては、災害時のボランティア活動のリスクについて説明し、現地でもボランティア活動保険に加入できるような情報収集と機会確保が必要です。また保険の切り替え日は3月31日です。活動中に期限が切れてしまわないよう注意してください。

(5)被災地に負荷をかけない支援~それぞれの地元でできる後方支援もある
 災害時のボランティア活動は被災地に赴くだけではありません。今回の地震の被災地ではまだ遠方からのボランティアを受け入れる体制にないところがほとんどです。不十分な準備のまま被災した住民同士の助け合いや公的なサポートを阻害するものであってはなりませんし、ボランティアとはいえ不特定多数の人間が被災地に入れば、当然さまざまな意味での負荷をかけることになりますので、ボランティアを志願する人がその時機を見定めるための正確な情報が必要です。また、直接被災地に入らず離れた避難所の支援をしたり、ボランティアをしたい人が地元でできる後方支援の重要性も伝えていただきたいと思います。
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